逐次ボルツマンマシン専用プロセッサへの並列遷移評価法の導入

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ニューラルネットワークに確率的な更新規則を用いたボルツマンマシンでは,エネルギーの最小値を与える状態がマルコフ連鎖の定常状態として得られ,また,状態の確率分布をネットワークに学習させることも可能である.しかし,このアルゴリズムは,マルコフ連鎖モンテカルロ法とも呼ばれ,計算量が非常に多くなる.従って,計算時間が長くかかる傾向があり,ボルツマンマシンの高速化は重要な研究課題となっている.本論文では,以前に提案した逐次ボルツマンマシン専用プロセッサに並列遷移評価アルゴリズムを導入し,高効率化を図ることを提案する.まず,このアルゴリズムのボルツマン分布への収束性を証明し,次に,このアルゴリズムの導入による高速化率を解析する.また,シミュレーションによって解の質や計算時間を調べ,本アルゴリズム導入の有効性を確認している.最後に,導入するアルゴリズムを実現するハードウェア構成を検討して,スタンダードセルを用いた回路設計を通して本アルゴリズム導入のためのハードウェアの増加率を求める.以上の結果,専用プロセッサのニューロン数が1000の場合,導入前の専用プロセッサの全ゲート数に対して5%程度のハードウェアの増加で,ほぼ4倍の高速化が実現できる見通しが得られた.
社団法人電子情報通信学会の論文
1996-09-25

逐次ボルツマンマシン専用プロセッサへの並列遷移評価法の導入

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