ラット冠微小循環の可視化と血管サイズ別階層的血流制御

概要

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背景:冠動脈では一酸化窒素(NO)および内皮依存性過分極因子(EDHF)は,血管径に応じて冠血流を調節する.我々は冠静脈でもNO,EDHFが階層的に血流制御に関与しているかどうかを検討するため,拍動ラット心の冠微小循環を生体内観察した.方法:プロスタグランジン産生抑制後,心外膜側の細動静脈(<100μm),小動静脈(>100μm)を生体ビデオ顕微鏡を用いて観察し,アセチルコリン(ACh)に対する冠血管反応をNO合成阻害剤の存在下,非存在下で検討した.結果:AChによる細動静脈の拡張は小動静脈よりも大きく,また動脈系は静脈系より大きく拡張した.小動脈は,細動脈と異なりAChにて拡張したが,小静脈はほとんど拡張しなかった.細動脈,小動脈はNO合成阻害剤にて拡張が抑制されたが,細動脈の方がより拡張が残存した.細静脈では,動脈側と同様にNO合成阻害剤にて拡張が抑制された.小静脈では,AChによる拡張もNO合成阻害剤による収縮も認められなかった.結語:冠静脈では,冠動脈と同様に階層的に血流制御がなされ,細静脈ではNO,EDHFが関与しているが,小静脈では両者の関与は認められなかった.
社団法人電子情報通信学会の論文
2003-07-05