ダブル分子トレーサを利用した低酸素潅流心における心筋潅流不均一性の解析

概要

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新しく開発したダブル分子トレーサ法により、低酸素潅流時におけるウサギ・ランゲンドルフ心(n=6)の心筋微小潅流の不均一性を評価した。分子トレーサにはデスメチルイミプラミン(DMI)を利用した。正常酸素潅流時にヨード125標識DMI、低酸素潅流時にトリチウム標識DMIを逆行性投与した後、左室自由壁の連続切片(10μm厚)を作製し、毛細管内皮に取り込まれた両者の分布をサプトラクション・デジタルラジオグラフィにより計測・比較した(空間分解能400μm)。潅流不均一性の指標であるトレーサ分布の変動係数(=SD/mean)は低酸素潅流下で88%増加した(0.16±0.03vs.0.30±0.11, P<0.05)。また、両トレーサ分布の相互相関はr=0.79±0.08(P<0.05)、相関直線の傾きは1.5±0.6を示し、局所領域間の潅流量の差は増大した。低酸素潅流下の微小心筋レベルにおいて、低潅流領域から高潅流領域への潅流シフト(coronary steal)が生じていることが示唆された。
社団法人電子情報通信学会の論文
2001-07-07