仮想現実空間探索課題におけるサル海馬体ニューロンの応答性

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場所細胞(Place call)は、動物が環境内の特定の領域を通過したときに活動が亢進するニューロンであり、げっ歯類の海馬体で多く報告されている。この場所細胞の応答は、動物が実際に歩行移動しないと消失することから、動物が環境内を探索移動することにより"身体内で発生する感覚(関節や筋肉の動きによる深部感覚や加速度などの前庭感覚)"に基づいて形成されることが示唆されている。本研究では、仮想現実空間内探索課題遂行中のサル海馬体より細胞外ニューロン活動を記録し、その空間応答性を解析した。その結果、いくつかの海馬体ニューロンでは、仮想空間内の特定の場所で活動が増加することが明らかになった。以上より、仮想空間内の移動により実際に歩行移動を行わなくても場所細胞が海馬体内に形成されることが判明し、これら場所細胞の応答性は深部感覚や前庭感覚などの物理的な感覚刺激の海馬体内再現によるものではなく、むしろ空間概念の形成によるものであることが示唆された。さらに、これらの場所識別ニューロンは、異なる仮想現実空間で異なる応答を示した。これらサル海馬体ニューロンの特徴は、ヒトのエピソード記憶の神経生理学的な基盤であると考えられる。
社団法人電子情報通信学会の論文
2002-05-17

仮想現実空間探索課題におけるサル海馬体ニューロンの応答性

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