DSCQS法とSSQS法による画質の絶対評価の比較検討 : 評点分布および評価データ処理方法

概要

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従来,画像品質の絶対評価では,SSQS法を用いるのが一般的であった.しかし,符号化画像の評価では,SSQS法よりも軽微な劣化に対する感度が高いとされるDSCQS法が使用される傾向が強い.本論文では,まず,符号化されたHDTV動画像を用い,DSCQS法およびSSQS法による主観評価試験を行い,DSCQS法による評点(5段階尺度に変換)が,SSQS法よりも低く分布する(差は最大で専門家0.94ランク,非専門家0.99ランク)ことを示した.また,僅少な品質差の検出能力はSSQS法の方が高いことを分散分析を使って示した.なお,この傾向は,専門家,非専門家の区別なく認められた.更に,DSCQS法で用いる「対のグラフ」に代え,「5段階のカテゴリー(小数値の回答も可)」を用いると,専門家の評点分布および僅少な品質差の検出能力はSSQS法とほぼ同じになることを示した.次に,両者の平均評点をimpsで表し,専門家,非専門家の区別なく,DSCQS法による評価結果のimps表現には矛盾が生じることを示した.そして,原因が従来の残差劣化補正法にあることを究明し,これを改善するために感覚領域でimpsを求める方法を新たに考案し,その有効性を確認した.
社団法人電子情報通信学会の論文
1995-12-25