関数呼出し情報を用いたスライスサイズの削減のための一手法

概要

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大規模なソフトウェアのデバッグや保守の際に,プログラム全体を参照するのではなく,プログラムの一部に参照範囲を限定することは有効である.参照範囲を限定する方法の一つとして,プログラムスライス技法(Program Slicing)が提案されている.静的スライスは,注目する変数の値に影響を与える可能性のある文の集合を抽出する.しかし,多くの場合には,実際には関係のない部分までスライスに含まれるため,十分に参照範囲を限定することができない.一方,動的スライスは,注目する変数の値に影響を与える可能性のある実行された文の集合を抽出する技法で,プログラムを実際に実行し,その際に得られる動的情報を利用するため,十分に参照範囲を限定することができる.しかし,プログラム実行時の動的情報取得のために多くの時間的・空間的コストを要する.本論文では,プログラムを実行して得られるわずかな動的情報と静的な解析とを組み合わせたプログラムスライス抽出技法を提案する.この技法により抽出されたスライスを,コールマークスライス(Call-Mark Slice)と呼ぶ.コールマークスライスの計算時には,まずプログラムのデータ依存関係と制御依存関係はあらかじめ静的に解析し,次にプログラム実行時に手続きと関数の呼出しの記録を保存する.そして,これらの情報から変数の動的な依存関係を明らかにすることで,従来よりも効果的にスライスを抽出することができる.更に,我々はコールマークスライスを既に開発しているスライスシステムに実装し,その有効性の評価も行った.
1999-10-25

関数呼出し情報を用いたスライスサイズの削減のための一手法

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