人体に装着された小形無線端末用アンテナの放射特性

概要

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本論文では, 人体の様々な位置に装着される小形無線端末用アンテナの重要な設計指針を示している.初めに, 代表的な装着状態として胸装着状態及び操作状態の二つに着目し, これらの状態で人体に装着されたカード型端末用λ/4モノポールアンテナの垂直面指向性を2GHzにおいて測定した.その結果, 胸装着状態において, 効率はアンテナと胸との間隔10〜35mmに対して18〜80%と変化が大きく, 人体正面の垂直面指向性は自由空間と同様に水平方向がヌル点となるため, パターン平均化利得(PAG)が-8dBd以下と低い.一方, 操作状態において, 効率は約60%で一定であり, 垂直面指向性は自由空間とは異なり水平方向の放射が高いためPAGが約-4dBdと高いことを示した.次に, FDTD法を用いて個々の人体部位が放射特性に及ぼす影響を解析した.その結果, 胸装着状態では電力吸収及び指向性ともに胴体の影響が支配的であり, 解析や測定においては胴体のみを考慮すればよい.また, 操作状態では手及び腕による電力吸収と頭及び胴体による反射の影響が大きいため, 解析や測定においては上半身すべてを考慮する必要があることを示した.
社団法人電子情報通信学会の論文
2000-10-25