信念と科学的知識の食い違いを子どもはどのように理解しているか : 地球の形の理解を中心に
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概要
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「地面は平たい」という信念と「地球はまるい」という科学的知識は直感的に食い違う。子どもは, 地球の形をどのように理解しているのだろうか。「地面は平たい」という知識と「地球はまるい」という知識を自分なりに統合した代替モデルを構成しているという見解 (Vosniadou, & Brewer, 1992) と, それぞれの知識を別々に保持したまま統合していないという見解 (中島, 1995) が提出されている。本研究は, (1) 子どもが地球の代替モデルを構成しているか否かを, 想定される代替モデルを提示して判断させることによりとらえ, (2) そこで選択されたモデルが様々な質問で一貫的に用いられるか否かについて検討した。小学l, 3, 5年生の子どもに, 地球のモデルの図への評価と, 地球に関連する様々な質問への回答を求めた。その結果, 主に次の結果が得られた。 (a) 多くの子どもが特定のモデルの図のみを青定する。(b) 代替モデルの図ではなく, 科学的に正しい球体モデルの図を肯定する了どもが多い。 (c) 様々な質問間で一貫的に回答する子どもは少ない。代替モデルの一貫的な使用は, それほど一般的な現象ではなく, 別々に保持していた信念と科学的知識を次第に関連づけて球体モデルを構成する子どもも多いと考えられた。
- 日本発達心理学会の論文
- 2000-10-20
著者
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