46. キレート染色 : (XII) TACによるカドミウムの染色
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概要
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カドミウムの組織化学的な染色における最大の障害は亜鉛の競合反応を抑えることが困難なことにある。亜鉛を分別する方法として, 標的金属を含めて切片中の金属をいったんシアンイオンで封鎖したあと, キレート剤(染色剤)との配位子交換反応の速度差を利用する方法がある。これらはkinetic masking法と呼ばれて, 新しいマスキング法のひとつとして注目されているが, 原理的に染色濃度を上げられない欠点がある。この事から今回はカドミウムと亜鉛とをそれぞれ別個の色に染色させる方法を試みた。数種のthiazolylazo系の染色剤のなかで, この目的にかなうものは2-(2-Thiazolylazo)-p-crezol (TAC)であった。TACはpH9付近では530nmに最大吸収があり, 両金属と反応して不溶性の沈殿物をつくる。両金属をそれぞれ門脈, 肝静脈経由で注入して作製した肝の切片上においては, カドミウムは赤紫色に, 亜鉛は緑青色に発色した。これらの錯体の最大吸収は両金属とも600nm付近であったが, 530nmに最大吸収を有する錯体が同時に存在しその存在比すなわちAbs(600)/ Abs(530)の差が, 両金属の発色による分別を可能としている原因であった。
- 日本組織細胞化学会の論文
- 1978-11-01
著者
-
鈴木 卓朗
聖マリアンナ医科大学病院第1解剖学教室
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宮崎 恭子
聖マリアンナ医大・第一解剖
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田中 絢子
聖マリアンナ医大・第一解剖
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鈴木 卓朗
聖マリアンナ医大・第一解剖
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鷲見 和
聖マリアンナ医大・化学
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村木 毅
聖マリアンナ医大・第一解剖
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