反射音構造の物理パラメータと「拡がり感」について

概要

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良いホールを特徴づける音響の主観的属性がある種の空間的印象として認識されており、"spatial impression" "Raumlichkeit" 「拡がり感」等々の語で表現されている。この主観効果と反射音構造の各パラメータとの関係を調ぺたものとしてはBarronの研究が代表的であるが、十分解明されているとは言えない。本研究では、まず、直接音と1個の反射音から成る最も単純な音場を対象とし、これを記述するパラメータとして音圧レベル、周波数、反射音の遅れ時間、反射音の到来方向を考え、これらと「拡がり感」との関係を明らかにした。次に、反射音が2個の場合の「拡がり感」について調べ、複数の反射音が存在する音場における「拡がり感」の大きさは個々の反射音の「拡がり感」に対する効果の和であり、有効側方音エネルギーで評価できることを示した。最後に「拡がり感」に対応する物理量と考えられているIACCの妥当性について検討し、「拡がり感」とIACCは必ずしも対応していないことを示した。
1988-09-01