遺伝子組み換え型インターロイキン2により増殖させた腎細胞癌浸潤リンパ球の細胞障害活性について

概要

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腎細胞癌の腫瘍組織より得た腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を遺伝子組み換え型インターロイキン2(rlL-2)により増殖させ,そのサブセットと細胞障害活性について検討を加えた.培養開始時に抗CD3を用いることが腎細胞癌14例中13例においてTILを増殖しえた.このTILのうちCD8陽性細胞のしめる割合は必ずしも著明に優位ではなく,培養1〜4週では26.2〜79.8%,平均56.2±15.1(N=13)であった.また培養3〜6週におけるNK活性は1.4〜57.4%,平均31.6±15.8(N=9),LAK活性は3.8〜35.6%,平均16.6±11.6(N=6)であった.さらに自己腫瘍に対する細胞障害活性を4例において検討しえたが,0〜47.6%,平均17.9±19.7%で,同種腫瘍に対しては0〜47.3%,平均18.9±14.8%(N=12)であり,両者間に有意差は認められなかった.以上の結果からヒト腎細胞癌においては,rIL-2により増殖させたTILの自己腫瘍細胞障害におけるエフェクター細胞の殆んどが主要組織適合抗原拘束性な細胞障害性T細胞とは考え難く,よって本疾患の免疫療法においてTILとLAK細胞間に著しい差があるとは思われなかった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1990-06-20