腎不全, 発育遅延及び腎尿路形成異常を主徴候とする小児8例の臨床的検討

概要

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腎尿路の形成異常、腎機能低下、発育遅延を主徴候とする8例に検討を加えた。全例初診時に何らかの尿所見の異常を認め、特に蛋白尿は尿路形成術後も持続している。背景に存在する疾患としては腎のagenesis、dysplasia、hypoplasia、逆流による先天性あるいは二次性の変形(congenital dysmorphism or renal scarring)、巨大尿管症などであった。初診時血清BUN平均33.4mg/dl、Cr平均1.49mg/dl、Ccr平均33.5ml/minであった。尿中β_2MG平均2,900μg/l以上と尿細管の強い障害が示された。発育遅延の指標として身長のstandard deviationをとってみると平均-3.1SDでありfollow up期間を通じて低身長が持続していた。Ccrと身長のSDには相関が認められ(r=O.92、y=67.86+11.5x)、Ccr50ml/min以下での低身長が著しい。活性型ビタミンD_3投与例においてはカルシウム代謝の改善傾向が見られたが、身長の延びという面においては効果はなかった。また手術施行例においても腎機能の低下、発育遅延を改善させることはできなかった。最後に高度の腎尿路形成異常、腎不全、低身長を三大徴候とする1つの症候群の提起を唱え、その発生、病態生理、治療の限界等について考察を加えた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文