腎盂・尿管癌に合併した膀胱癌の異型度と深達度に関する検討

概要

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(目的)腎盂・尿管癌とこれに合併した膀胱癌について,両者の異型度と深達度の関係を検討した。(方法)当院にて腎尿管全摘除術を施行した腎盂・尿管癌77例を対象とした。合併膀胱癌はその発生時期から,腎盂・尿管癌に先行した例(先行例),同時に認められた例(同時例),術後に生じた例(続発例)に分類した。なお,今回の検討においては浸潤癌を深達度T1b以上の腫瘍とした。(結果)膀胱癌は29例に合併し,この内先行例3例,同時例を8例認めた。続発例は18例であったが,先行例1例と同時例2例に膀胱癌が続発し,これら3例を加えた21例を続発例とした。合併膀胱癌の異型度は,1例を除き,腎盂・尿管癌と同じか低下していた。深達度に関しては,先行例と同時例でTa腎盂・尿管癌には全例Ta膀胱癌が,浸潤性(T1b以上)腎盂・尿管癌には浸潤性膀胱癌が合併した。また,Ta腎盂・尿管癌に続発した11例の膀胱癌は全例Taであった。一方,浸潤性腎盂・尿管癌に続発した10例の膀胱癌のうち7例はTaで,浸潤性膀胱癌の合併は3例であった。(結論)先行例と同時例では,腎盂・尿管癌と膀胱癌の浸潤性は等しくなる傾向が認められた。続発例においてはTa膀胱癌が多く合併したものの,浸潤性腎盂・尿管癌に続発した膀胱癌は10例中3例が浸潤性であった。合併数は少ないものの,浸潤性腎盂・尿管癌の術後では浸潤性膀胱癌の発生に関し,特に注意深い経過観察が必要と思われた。
1997-08-20

腎盂・尿管癌に合併した膀胱癌の異型度と深達度に関する検討

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