脊髄損傷患者に対するElectroejaculationと人工授精について

概要

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(目的)我々は,1991年より挙児を希望する脊髄損傷患者に対し,電気射精(EE)を施行してきた。今回,EEの成績およびEEにて得られた精液を用いての人工授精の成績について検討した。(対象・方法)1991年5月より1995年10月までにEEを施行した脊髄損傷患者69例を対象とした。EEにはSeager NRH Model 12を用い,順行性射精の誘発率,得られた精液の所見,副作用について検討した。人工授精としては,配偶者間人工授精(AIH),体外受精(IVF),卵細胞質内精子注入法(ICSI)を施行した。AIHは当院にて,IVFおよびICSIは府中病院不妊センターにて行った。(結果)69例に対しEEを施行し,60例(86.9%)に順行性射精を誘発できた。下位型膀胱麻癖を有する症例の順行性射精の誘発率は58.3%と低下していた。EEで得られた精液の最は平均1.0ml,精子濃度は平均40x10^6ml,運動率は平均9.4%であった。副作用としては,自律神経過反射が21例,下腹部痛が17例にみられたが,重篤なものはなかった。現在までにAIHを13例80回,IVFを1例2回,ICSIを4例5回の計87回の人工授精を施行し,AIHを施行した2例,ICSIを施行した1例において挙児に成功した。(結語)脊髄損傷患者に対するEEは手技が簡便で,順行性射精の誘発率が高く,副作用のコントロールも容易である。適切な人工授精法との併用により挙児の希望に応え得る有用な方法と考えられた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-03-20

脊髄損傷患者に対するElectroejaculationと人工授精について

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