精巣固有鞘膜に発生した嚢胞状リンパ管腫の1例
元データ
1997-11-20
社団法人日本泌尿器科学会
概要
症例は42歳男性。無痛性陰嚢内腫瘤にて来院。超音波検査にて左陰嚢内に多数の嚢胞を認め,確定診断を兼ねて手術を施行した。嚢胞は精巣固有鞘膜より発生しており,一部固有鞘膜を含めて嚢胞を全て切除した。嚢胞内溶液は漿液性で,沈渣にて細胞成分は認めなかった。病理組織学的検査では嚢胞内腔側は1層の細胞によって覆われており,PAS,アルシアンブルー及びムチカルミンによる粘液染色の総てに陰性であり,CD34及びFactor VIII関連抗原に対する免疫組織染色は陽性であった。以上の結果より嚢胞内腔を覆う細胞はリンパ管内皮由来と考えられ,その形態学的特徴より嚢胞状リンパ管腫と診断した。陰嚢内に発生したリンパ管腫は極めて稀であり,本邦第1例めと考えられる。
著者
中川 昌之
大分医科大学医泌尿器科
佐藤 文憲
大分医科大学泌尿器科
三股 浩光
大分医科大学泌尿器科
野村 芳雄
大分医科大学泌尿器科
秋月 真一郎
大分医科大学第2病理
堤 智昭
大分医科大学泌尿器科学教室
野村 芳雄
大分医科大学 泌尿器科
堤 智昭
医療法人慈恵会西田厚徳病院泌尿器科
秋月 真一郎
大分医科大学第1病理