Flow Cytometryによる膀胱癌の核DNA量解析 : 膀胱癌におけるDNA heterogeneityの検討

概要

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目的;膀胱癌症例において, DNA ploidyと病理組織学的因子, 腫瘍浸潤および予後どの関係, また, DNA heterogeneityを探るため検討した.方法;Flow cytometry (FCM) を用いて, 根治的膀胱全摘除術を施行した膀胱癌63症例の核DNA量を解析し, DI値 (DNA index) にて評価した.結果;1) DNA aneuploid (以下aneuploid) の出現率は膀胱全摘後, 腫瘍が存在した52例中24例 (46%) であり, DNA heterogeneityを示したのは18例 (35%) であった.また, 術前照射後に全摘し, 腫瘍が存在しなかった11例は, 全例DNA diploid (以下diploid) であった.2) DNA ploidyとGradeおよびStageとの間に明かな関係はないが, high Grade, high Stage例にaneuploidの出現率が高かった.また, 壁内侵襲 (ly, v) では, 陽性例で有意にaneuploidが多かった (p<0.01, p<0.02).3) 腫瘍の粘膜側と漿膜側の検討から, 必ずしも筋層 (深部) 部分にaneuploidを認めず, DNA ploidyと腫瘍浸潤との間には明確な関係を示すことはできなかった.結論;膀胱癌におけるDNA heterogeneityの出現頻度は比較的少ないが, DNA ploidyは, 膀胱癌において, 重要な予後規定因子となりうることを示唆している.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1995-08-20