単腎および両腎に発生した腎細胞癌に対する腎保存手術の検討

概要

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(目的) 単腎および両側性に発生した腎細胞癌に対する腎保存手術の有用性を検討するために生存率および術後の合併症を検討した. (方法) 1982年2月から1994年2月までに腎保存手術を施行した.単腎あるいは両側腎に発生した腎細胞癌症例12例を対象とした. (結果) 対象症例は男性11例, 女性1例で平均年齢62.4歳, 臨床病期はstage1:3例, stage2:6例, stage3:2例, stage4:1例, 腫瘍径は0.8〜6.5cm, 平均3.4cmであった.手術時間の中央値332分 (205〜590), 出血量の中央値1, 038ml (320〜3, 540), 術後合併症は1例に後出血, 3例に一過性のCr値の上昇を認めた.予後の検討では平均観察期間42.0±34.1ヵ月 (8〜119), 局所再発1例 (8.3%), 遠隔転移3例 (25.0%), 癌なし生存8例, 癌あり生存1例, 癌死2例, 他病死1例で, 5年生存率は62.5%で当科で腎摘術を施行された腎癌141例の生存率曲線と比較すると4年10カ月までは同等あるいはそれ以上であった.またstage1&2はstage3&4に比べ予後良好な傾向を認めた (p=0.0956). (結論) 以上のことから単腎あるいは両側性に発生した腎細胞癌に対する腎保存手術は有用な治療法と考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1995-07-20