進行前立腺癌の治療成績 : 16年間の変遷

概要

論文の詳細を見る
対象,方法:1976年から1991年までに経験した154例のStageC,Dの進行前立腺癌患者について,臨床的特徴を1976年から1983年までの8年間(前期)と1984年から1991年までの8年間(後期)に分けて経時的に検討した.結果:前期は61例,後期は93例で,後期で患者数の増加,年齢の高齢化(70.7歳→72.6歳)がみられ,無症状での発見例の増大(1例→9例)がみられた.また,D1症例の増加(0→7例)と,D2でのリンパ節転移例の増加(1例→7例)もみられた.一方,組織分化度には著変はなかった.初期治療は前後期とも内分泌療法が主体であったが,前期ではエストロゲン剤,去勢術が中心であったのに対し,後期は半数以上の症例にLH-RHアナログ剤または抗アンドロゲン剤が投与された.しかし,Progression free survival及びSurvivalにはほとんど改善を認めなかった.また,内分泌治療の方法別にも有効性に差はなかったが,心血管系疾患による他因死7例中5例にエストロゲン剤が投与されていた.結論:以上より,進行前立腺癌においてはこの間に,リンパ節転移の検出,無症状の発見など,診断能の向上がみられ,内分泌療法の形態は大きく変化したが,治療成績には大きな変化がなく,今後とも有効な治療法の開発努力の必要性が示された.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1994-11-20

進行前立腺癌の治療成績 : 16年間の変遷

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク