前立腺肥大症における術前膀胱内圧所見の検討 : とくに自然経過及び手術予後との関係について

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前立腺肥大症に伴う膀胱機能異常と各種臨床所見との関わりを調べる目的で、前立腺肥大症新鮮例437例の手術前膀胱内圧測定所見を中心に臨床的検討を行った.術前膀胱無抑制収縮(以下UIC)は263例(60.2%)に認められ、これらはUIC陰性群に比べ、より高齢・切除重量大であり、蓄尿障害・排尿障害とも高度であった.また、コリン剤誘発の膀胱除神経過敏反応(以下Vds)陽性47例(12.5%)はその殆とがUIC陽性群に含まれ、排尿障害はさらに高度であった.加えて、両者とも高齢者にその割合が高くなる傾向を示した.術後大部分の症例で排尿状態は正常化したが、術直後の排尿障害改善不完全例は膀胱機能の低下した高齢者に多い傾向を示した.しかし、長期的には有意な因子を認めなかった.蓄尿障害の改善度は術前CMG所見とよく相関し、尿失禁のなかなか改善しないものは有意に低膀胱容量・低コンプライアンスで術前UICを伴う高齢者に多かった.術前後の臨床所見の比較検討から、これら膀胱機能異常はともにinfravesical obstructionとその罹患期問を反映した二次的たものが大部分であり、UICは排尿障害の一種の代償機構を、Vdsはより膀胱機能の荒廃が深刻となったことを示唆している可能性が考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1993-02-20

前立腺肥大症における術前膀胱内圧所見の検討 : とくに自然経過及び手術予後との関係について

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