VAB-6療法による進行性精巣腫瘍の治療成績 : 有効性と限界について

概要

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進行性精巣胚細胞腫瘍患者15例に対し,高位精巣摘除術後に初回化学療法としてVAB-6療法を行った。評価可能病変を有する15例中,CR2例(13.3%),PR9例(60.0%)の奏効率を得た。1,3および5年生存率は92.2,64.2および51.4%であった。集学的治療によるNED生存は,平均観察期間44.3ヵ月で9例(60.0%)であった。化学療法後の残存腫瘍に対し外科的切除を行い,組織学的に評価を行った。11例中壊死あるいは線維化組織が4例(36.4%),奇形腫が2例(18.2%)および残存癌が5例(45.5%)であった。切除標本に残存癌を認めなかった6例はすべてNEDにて生存中であるが,癌組織を認めた症例では5例中2例のみNED生存となっている。4つの予後規定因子((1)bulkyな腹部腫瘤,(2)進行性肺転移巣,(3)他臓器転移,および,(4)絨毛癌成分の混在)を設定し,NEDとの関係について検討した結果,進行性肺転移巣および絨毛癌成分の混在が予後不良因子となっていた。これらの因子を有する症例についは,従来salvage chemotherapyに用いられていたVP-16, ifosfamide, high dose cisplatin等を,初期治療の段階から使用すべきと思われた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-10-20