正常および実験的ラット停留精巣におけるグルタチオンS-トランスフェラーゼの免疫組織化学的研究

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ヒト腎から精製したグルタチオンS-トランスフェラーゼ(glutathione S-transferase;GST)の抗血清を用いて,Wister系ラットの正常精巣(陰嚢内精巣)と出生後1週で手術をした実験的停留精巣の組織を酵素抗体法(PAP法)で染色し,GSTの局在と分布を観察し,Leydig細胞の重量の経時的変化を立体計量形態学的に計測して比較した。1.Leydig細胞は,正常・実験的停留精巣の週齢を問わず,全例で強いGST活性を示した。正常精巣のLeydig細胞重量は,生後4週から急速に増加して,8週で最大となった。その後は減少して,20週で8週の1/2となった。一方,実験的停留精巣のLeydig細胞重量は,生後14週で最大となった。その後の減少は少なく,20週で正常群と比較して2倍であった。実験的停留精巣のLeydig細胞は,重量においても,正常群と比較して過形成の状態であると考えた。2.精細管は,正常・実験的停留精巣ともに生後2〜4週にかけて,分裂途上で変性していく一次精母細胞がGSTに陽性であった。さらに,腹腔内環境で破壊される胚細胞がGSTを含んでいた。ここでのGSTは,変性していく胚細胞内でグルタチオン抱合による解毒作用に関わっている可能性を考えた。3.抗ヒト腎GST抗体を用いたPAP染色は,精細管上皮の代謝作用ならびにLeydig細胞の形態・分布を評価するうえで有用な方法であった。4.停留精巣の実験で,胚細胞は4週以降に破壊されることを示した。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-01-20

正常および実験的ラット停留精巣におけるグルタチオンS-トランスフェラーゼの免疫組織化学的研究

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