アンチアンドロゲン剤長期投与肥大症患者における超音波計測による前立腺重量の経時変化
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概要
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アンチアンドロゲン療法が長期施行されるうちに抵抗性を獲得し再増大してくる肥大症患者がどの程度あるかについて検討するために,酢酸クロルマジノン投与前および投与開始後に2回以上(通算3回以上)経直腸的超音波断層法をうけた52例の肥大症患者につき超音波計測による前立腺重量の変化を集計した.酢酸クロルマジノンの投与法は1日50mg(分2)の経口投与を原則としたが,投与開始後充分な縮小効果の得られた28例では途中から1日25mg(分1)の経口投与に切り替えた.52例全例では,投与前31.8±14.1g(平均値±標準偏差,以下同様)の前立腺重量が平均4.5ヵ月間の投与により21.3±11.2gに縮小し,最終検査時(平均25.3ヵ月後)にも20.6±12.7gであり,再増大してくる傾向は見られなかった.また途中から1日25mgの経口投与に切り替えた28例でも,再増大してくる傾向は見られなかった.投与開始後いったん30%以上縮小し,その後30%以上再増大した症例は9例あったが,このうち8例は目的の効果が得られた後,半量の25mgが維持のため投与されていた症例であった.対象となった52例と同時期に酢酸クロルマジノンを投与された患者は86例あり,この中には投与後2度の検査を待たずに手術がなされたり(7例),患者が来院しなくなったり(8例)した症例があり,この52例が偏った症例の集まりとなってきまった可能性もあるが,最低6ヵ月,最長59ヵ月,平均25ヵ月の期問ではアンチアンドロゲン療法に対する低抗性を獲得する症例は僅かであることが示された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1988-10-20
著者
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