慢性腎不全及び腎移植後における男子性腺機能の検討

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男子慢性腎不全,血液透析症例20名において,アンケート調査を行なつた結果,性機能および妊孚力の低下が示された。慢性血液透析症例20名で血清FSH,LH,Testosterone(T)の基礎値を検討した。健常成人男子と比較し,FSH値,LH値の平均は有意に高値を示し,T値の平均は有意に低値を示した。しかし,個々の症例では,Tが低値にもかかわらずLHが低値である例や,Tが正常にもかかわらずLHが上昇している例がみられ,LH-PH試験で,ゴナドトロピンの反応は速やかであるが下降の遷延化するものもみられた。これら血液透析症例では,原発性睾丸機能障害と同時に,視床下部-下垂体機能にも異常がある可能性が示唆された。また,男子移植症例8名で,腎移植後の血清FSH,LH,Tの基礎値の経時的推移を検討した。LH値は,移植後3ヶ月以内に下降する傾向を示したのに対し,FSH値は移植前値に比較し,腎機能の回復およびPrednisolone 25〜35mg/dayに減量した時期に一度高値を示した。血清Tは術後1ヶ月以内で一度下降した後,しだいに正常値に戻る傾向であつた。腎移植後にみられるFSH rurgeに対する説明はいまだ不明な点が多いが,視床下部・下垂体機能異常の回復および手術によるストレス,Prednisolone治療による睾丸への影響がFSHの上昇をもたらしている可能性を指摘した。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1982-10-20

慢性腎不全及び腎移植後における男子性腺機能の検討

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