尿管蠕動頻度とBolus量の変化からみた犬尿管の尿輸送におよぼす自律神経薬剤の影響
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概要
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自律神経薬剤の雑種成犬の尿管尿輸送におよぼす影響をみるため,腎盂内圧が一定になるように生理的食塩水を注入する実験モデルを作成し,薬剤による尿管蠕動頻度とbolus量の変化を検討した.norepinephrine投与では,腎盂尿管の内圧は上昇し蠕動頻度は増加したが,bolus量と尿流量は減少した.phenylephrine投与では尿管蠕動頻度は増加し,clonidine投与でも同様の傾向を認めた.isoproterenol投与では,腎盂尿管の内圧は低下して尿管蠕動は消失した.terubutaline投与では,蠕動頻度は減少してbolus量は増大した.phentolamine投与では,norepinephrineやphenylephrine投与と逆の傾向を認めた.prazosin投与により尿管蠕動は抑制され,yohimbine投与では消失した.propranolo,metoprololおよびbutoxamine投与では尿管嬬動に変化がなかった.acetylcholine投与で,腎盂内圧は下降したが尿管内圧は上昇し,蠕動頻度は増加してbolus量と尿流量は減少した.atropine投与では尿管蠕動に変化がなかった.以上から,α刺激剤により腎盂尿管平滑筋のtonusは亢進して尿管蠕動頻度は増加するが,bolus量も減少するため尿流量は減少すること,また尿管にはα_1とα_2受容体が存在し,いずれも尿管蠕動を促進させることが示唆された.一方,β刺激剤は腎盂尿管平滑筋のtonusを減弱させて尿管蠕動を抑制するが,bolus量を増大させると思われた.副交感神経刺激剤は直接尿管に作用してtonusを亢進し,bolus量と尿流量を減少させると考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
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