超音波ガイド下腎嚢胞穿刺術について : エタノール注入の経験

概要

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1982年9月より1983年12月の期間に奈良県立医科大学泌尿器科教室において,単純性腎嚢胞患者12例14嚢胞に対して超音波ガイド下腎嚢胞穿刺術を行い,うち10例12嚢胞に嚢胞内容吸引後硬化物質として無水エタノールを嚢胞内に注入した.21G穿刺針にてtransparenchymalに嚢胞を穿刺した.そして,安全かつ確実に嚢胞内容を吸引するとともに無水エタノールを嚢胞内に注入することを目的として,血管撮影用ガイドワイヤーを使用し,5F pigtail stent catheterを嚢胞内に留置した.嚢胞内に注入した無水エタノール量は,10〜70ml(平均33ml)で,これらは吸引量の5〜41%(平均21%)に相当した.また,無水エタノールの嚢胞内貯留時間は,5〜15分(平均9分)であった.1例を除き,CTスキャンにて経過観察を行った.2〜16カ月(平均7.4カ月)の経過観察期間で,82.3%〜99%(平均94.4%)の縮小率を得た.一方,無水エタノール非注入例2例はいずれも嚢胞の再燃をみた.穿刺部痛,発熱,動悸などの合併症は認めたものの,特に重篤な合併症は認めなかった.超音波ガイド下腎嚢胞穿刺術は,腎の占拠性病変に対する診断法としてだけではなく,その治療法としても有用な手技であると考える.
社団法人日本泌尿器科学会の論文