前立腺癌永久挿入密封小線源治療後のPSA bounce現象に関する検討

元データ 2004-03-20 社団法人日本泌尿器科学会

概要

(目的)限局性前立腺癌に対する経会陰的永久挿入密封小線源治療(TIPPB)後にしばしば観察される前立腺特異抗原(PSA)値のバウンス現象(PSA bounce)に関して検討した.(対象・方法)1998年12月から2003年5月までに,限局性前立腺癌患者500例に対して, I-125またはPd-103を使用したTIPPBを施行した.今回は,術後の血清PSA値測定による経過観察期間が2年以上であり,ホルモン療法未施行の200例に関して検討した.術後2年間は3ヵ月毎,以後6ヵ月毎に血清PSA値を測定した.PSA bounceとは,血清PSA値が術後,連続的に下降した後,上昇前値から0.1ng/m1以上の一過性の上昇を認め,その後,上昇前値またはそれ以下のnadirに達した現象と定義した.また,biochemical failureの判定に関しては,The American Society for Therapeutic Radiology and Oncology(ASTRO)consensus panel (1996)の定義を使用した.(結果)200例中80例(40%)にPSA bounceを認めた.PSA bounce出現までの期間の中央値は術後13ヵ月,bounce前値からの血清PSA上昇値の中央値は0.3mg/mlであった.PSA bounceの出現後に再度血清PSA値の上昇を認め,biochemical failureを示した症例はなかった.12例が血清PSA値測定の3回以上に及ぶ連続上昇を示し,1時的にASTROの定義でのbiochemical failureと判定したが,そのうち10例(83.3%)はその後血清PSA値が再下降し,nadirを得た.よって,観察期間内に継続的な血清PSA値の上昇を認め,biochemical failureと判定したのは2例のみであった.(考察)TIPPB後にPSA bounce現象が見られることは稀ではなかった.PSAが連続3回以上の測定で上昇が観察された後,nadirとなった症例を10例に認めた.こういった症例では最終的にはPSA bounceの判定になるが,経過観察中には一時的にbiochemical failureと判断することになり,経時的な定義上の変化が生じ,患者のstatusの判断に混乱を来すと考えられた.

著者

島田 誠 昭和大学横浜市北部病院泌尿器科
深貝 隆志 昭和大学医学部泌尿器科学教室
深貝 隆志 昭和大学医学部泌尿器科学
森田 將 昭和大学医学部泌尿器科学
吉田 英機 昭和大学医学部泌尿器科
森田 將 ハワイ大学外科学教室
Lederer John ハワイ大学外科学教室
森田 将 昭和大学医学部泌尿器科学
吉田 英機 昭和大学泌尿器科
Lederer John 米国
吉田 英機 昭和大 医

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