腎細胞癌症例の長期follow upにおける問題点

概要

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(目的)腎細胞癌は根治術後5年以上経過しても再発転移が多く,長期follow upが必要である。本研究は腎細胞癌の長期follow upの問題点につき検討を行った。(対象と方法)1980年1月より1990年12月の間に奈良医大泌尿器科および関連施設で治療した腎細胞癌287例を対象とし,1995年12月末日時点での追跡可能症例と追跡不能症例との相違につき比較検討した。さらに,患者説明の最近の動向につき,1991年から1995年までの症例287例も含めて検討を行った。(結果)1995年12月末での追跡不能症例は76例で,追跡可能症例211例と比較して癌または癌の可能性ありと説明されている症例が少なく,追跡不能理由は,患者が完治と誤解している症例が22例(28.9%)ともっとも多くみられた。また,1991年以降の症例も含めた検討で,最近5年間に癌と説明している症例が有意に増加し,良性疾患と説明している症例が減少していた(p<0.0001)。(結論)腎細胞癌の長期follow upには,患者への癌告知を含む病状説明の重要性が示唆された。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
2000-04-20