尿流動態検査実験モデルとしての兎動物催眠法
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概要
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下部尿路機能の研究に動物を使用する時,これまでは麻酔剤や除脳法を用いてきた.今回,実験動物を簡単に非動化する方法として動物催眠に着目し,家兎を対象にUDSの見地から,この方法の実用性につき検討を加えた.3kg前後の雄家兎20羽を使用した.家兎はV字型手術台の上で仰臥位伸展位とすることで催眠状態へ入る.催眠下で膀胱瘻作製後,膀胱内圧,外尿道括約筋活動電位を同時記録し更に尿道内圧も測定した.Pentobarbital麻酔下でも同様の測定を行い比較検討した.催眠状態は約30分間から60分間持続した.その間,尿道へのカテーテル挿入,恥骨上膀胱穿刺等では覚醒しない.催眠下での所見は膀胱が伸展されるにつれて外尿道括約筋活動電位も徐々に増大し,膀胱収縮と同時に外尿道括約筋の活動が停止するpatternが記録できた.この排尿反射に一致し,注入された生食水が外尿道口より放出された.催眠下での最大膀胱容量41.4±22.3ml,最大膀胱収縮圧23.5±8.0mmHg,静止時外尿道括約筋活動電位110±49μVであった.これらの測定中家兎は非動化のままであった.麻酔下においては外尿道括約筋活動電位11.O±8.1μVで,注入された生食水は受動的に外尿道口より漏れ出てしまい,排尿反射は起こらなかった.最大尿道閉鎖圧は催眠下で87.6±8.2mmHg,麻酔下で58.3±2.36mmHgであった.麻酔下において下部尿路機能は著しく抑制された.動物催眠法は比較的生理的状態を保持したままで動物を非動化でき,下部尿路機能を評価する動物実験において有用な方法と思われる.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1990-11-20
著者
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