反射法地震探査と衝突型造山帯のテクトニクス
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概要
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反射法地震探査は今や地殻の深部構造を探るうえで不可欠なツールとなった。その威力は日本のような島弧においても確かめられつつある。反射法地震探査を主体とした地球物理学的探査と地表の地質学的調査によって明らかとなった, ヒマラヤ, アルプスおよび日高の三つのタイプの異なる衝突型造山帯の深部構造を概観した。これら衝突型造山帯の深部構造の特徴は, 一方の地殻あるいはマントルが他方の地殻あるいは地殻-マントル境界に楔状に打ち込まれたwedge extrusionとデコルマンおよびそこから派生する街上断層群によるスラストテクトニクスおよびデュープレックス構造である。超高圧変成岩や海洋地殻岩石を伴うアルプスとそれらを伴わないヒマラヤ中央部や日高ではwedge extrusionが生ずる深度が異なる。wedgeあるいはデコルマンが発生する深度レベルは岩石の温度, 圧力, 間隙水圧などの物性あるいは化学組成の違いによるが, 島弧や海洋地殻物質の関与も考えられる。
- 1998-07-31
著者
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