秋田県八郎潟の完新世地史
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概要
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八郎潟は, 現在干拓平野となっているが, 秋田県男鹿半島と本州との間の潟湖である。地下の完新統(八郎潟層)は八郎潟域が内湾から約2200 y.B.P.に汽水域化する過程で堆積した。最大層厚は62mで非常に厚く, 完新統堆積中に沈降運動が同時進行していたことを物語る。一方, 日本海との間には北東部に能代砂丘, 南部に天王砂丘が存在し, 潟を外洋から隔てている。これら2砂丘は縄文海進以降の完新世に形成されたが, 砂丘地形は対照的で, 能代砂丘は累重砂丘, 天王砂丘は千列砂丘である。これら対照的砂丘地形は男鹿半島を含む八郎潟西方一帯が北東方向へ傾動することにより出現した。以上のように八郎潟地域では西方地域の北東への沈下と, 潟を中心とする沈降運動の影響が大きいことが判明した。また, 八郎潟の成立を直接的に示す汽水湖は, 砂丘の形成による内湾の閉塞度の強化と, 河川による湾内水の希釈によって出現したと考えられる。
- 1990-11-30
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