東北地方中部日本海側地域の漸新世〜中期中新世火成活動の変遷
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概要
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東北日本弧の日本海側地域では日本海拡大に相前後して, 漸新世から中期中新世にかけて火山活動が活発化した。この時代の火山活動は羽越北部, 出羽北部及び阿仁合地域に典型的に発達し, その活動期は火山活動の広域的な変化や構造運動に基づいて6つのステージに分けられる。ステージ1(30-25 Ma)の火山岩は出羽北部と阿仁合地域に分布する。その火山岩は陸弧型の低アルカリの安山岩〜玄武岩で, おそらく漸新世の東北日本弧の火山フロント付近で噴出したらしい。ステージ2の火山活動は22-24 Maの溶結凝灰岩を含む酸性火山岩を広域的に噴出した。ステージ3(20-18 Ma)の火山岩は約20 Ma, つまり日本海拡大初期に形成されたいくつかのグラーベンの中で主に産する。このステージの火山岩は高Ti玄武岩と陸弧型の低Ti玄武岩〜安山岩からなる。阿仁合地域の高Ti玄武岩はグラーベン中にシルや溶岩を形成し, 19.4 Maと19.6 Maの年代を示し, 日本海のODPのLeg. 128のSite. 797のドレライト岩床群とほぼ同時代である。ステージ4(18-16 Ma)の火山活動は玄武岩質岩と酸性岩とのバイモーダル型である。玄武岩質岩はプレート内型の高Ti玄武岩とMgOに富む低Ti玄武岩からなる。ステージ5と6(16-10 Ma)の火山活動は3つの研究地域に近接した秋田-山形油田地帯に大量の玄武岩質岩を噴出した。その玄武岩質岩は低K_2Oで, 島弧のソレアイトと背弧海盆玄武岩との中間的な特徴を持っている。
- 日本地質学会の論文
- 1995-11-30
著者
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