アルジネート印象用消毒・固定兼用液における印象寸法安定性とpHおよびイオン濃度変化

概要

論文の詳細を見る
著者らは組成が1.0%NaClO-0.2%CaCl_2-1.0%K_2SO_4のアルジネート印象用消毒・固定兼用液(NCK液)を作製し,市販印象材4製品を用いて浸漬した印象量に対する印象寸法変化とNCK液のpHおよびイオン濃度変化を測定した. 長板状で体積が3cm^3の印象1本を浸漬した場合,印象寸法変化は60分後で4製品の平均値が-0.068%であった.印象4本(12cm^3)の場合,平均値が0.087%となり,膨張性の寸法変化が増加した.これら両値はいずれも寸法変化の許容範囲(±0.2%)にあった.しかし,製品中には許容範囲外もみられ,これらは専用に組成を調整した消毒・固定兼用液を用い,範囲内とするのが妥当と思われた. NCK液のpH,残留塩素濃度はそれぞれ8.91,7.21mMであった.CaおよびKイオン,残留塩素濃度はいずれも印象の浸漬により経時的に,また,印象量が増すと低下し,CaおよびKイオンは印象に吸着したと考えられた.
日本歯科理工学会の論文
1999-09-25