詩への迂路 : 『ディナールの蝶』をめぐって
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概要
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たとえば, 詩という形式が詩を肯定することへよりも否定することの方へと傾きがちだという逃れがたい危うさに気づき, その視えない呪縛から逃れるために詩から小説へと形式をまたぐ詩人は決して稀ではない.戦後イタリア文学だけに限定してみても, パゾリーニが, ロヴェルシが, ソアーヴィがいる.では, 散文集『ディナールの蝶』の作者エウジェニオ・モンターレの場合はどうだろう.この小論は, 『ディナールの蝶』Farfalla di Dinard(1956;1960)〔以下, FDとする〕の成立の経緯をさぐり, この作品集に先行する, あるいは後続するモンターレの詩集に収められた詩作品との関係をも検討しながら, その構成と主題とを考察し, 詩人の詩的営為のなかにFDを位置づけようとする試みである.
- 1986-10-30
著者
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