二、『デカメロン』初期手稿の挿画(中世からルネサンスへ)
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概要
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〔付記〕著者のブランカ教授は昭和五十六年十月二十日から約三週間、日本学術振興会の招聘研究者として来日した。ここに所収の論文三編は同氏の了承を得て、我国での講演草稿を担当の通訳者が新にに訳出したものである。最初の論文は、東京大学附属図書館において十一月四日に行なわれたものであり、同所で開幕の「詩人ペトラルカの足跡写真パネル展」の記念講演であった。次の論文「『デカメロン』初期手稿の挿画」は、十月二十七日大阪外国語大学、十一月五日東京イタリア文化会館での二度の講演原稿であり、実際には著者の貴重なスライドを使用して催されたものである。最後の論文は、今年度イタリア学会大会での特別講演である。なお滞在日程の中で他に、十月二十三日こ京都産業大学において「ボッカチオとヴェネツィア」、十月三十日東京外国語大学において「コムーネ時代の叙事詩『デカメロン』」の講演が行なわれた。今回この原稿が含まれていないのは、ただ紙数の都合等のやむを得ざる事情によるものであった。次に著者紹介を簡単に記しておこう。手もとの資料は『パドヴァ大学年報』およびリンチェイ・アカデミア編『伝記と書誌』の二点である。ヴィットーレ・ブランカVittore Bramcaは一九一三年七月リグーリア州サヴォーナに生れ、ピサのノルマーレ校に学び、モミリアーノ、カセルラ両教授の研究指導を受け、特にボッカチオ初期手稿の文献学的研究を専攻、五三年パドヴァ大学イタリア文学科教授に就任して今日に至っている。現在、国際イタリア語・イタリア文学会(略称AISLLI)会長、リンチェイ・アカデミアおよびクルスカ・アカデミアの会員である。またヨーロッパ有数の国際会議場として知られるヴュネツィア、チーニ財団研究所の所長に就き、国際文化交流の熱心な推進者としても知られている。主要な著書に『中世のボッカチオ』(フィレンツェ、五六年)、『デカメロンの自筆本』(パドヴァ、六二年)があり、テキストクリティックに基づく多くの校訂版を世に送っている。著名な『デカメロン』(クルスカ学会版、六四年)の他、聖フランチェスコ、ポリツィアーノの作品ならびに『コンチリアトーレ』の諸版である。他に、著者監修の『イタリア文学研究辞典』(三巻、フィレンツェ、六四年)と『イタリア文学と文明』(三巻、フィレンツェ、六四年)を編纂している。なお、ここで紹介の三編のテーマに関して、著者は当初かなり長文の原稿を準備していた。それがこのような簡潔な形の原稿となったのは、来日後著者が通訳者たちと協議して、改めて各一回の講演用に大幅に手直ししたためで、その点を付記しておきたい。
- イタリア学会の論文
- 1982-03-20
著者
関連論文
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