ファジィ推論による騒音の心理評価法(<特集論文>人文・社会科学へのファジィ理論の応用)

概要

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変動する騒音刺激に晒された場合, 知覚・感覚レベルに属する表層的水準での心理的印象が刺激音の時間的変化に追従しながら生起した後, この刺激全体に対して情緒レベルに属するより深層的水準での心理的印象が生ずる。我々はこれまで, 人間の主観に支配される心理的印象は"あいまいな"事象であるとの立場から, 前者の瞬時的に生ずる印象を定量的に評価するための試みを行っている。本論文は, これまでの考察を更に発展させ, 前者の瞬時的印象から後者の騒音全体に対する印象を推定・予測することを考察目的としたものである。このような試みは, 騒音に対する人間の態度や行動等を予測して騒音対策問題を考える実際的立場から重要な工学的意味を持っている。具体的には, 上記の2つの印象に対して, "騒々しさ"と"うるささ"に関するカテゴリーを予め設定し室内心理実験を行った。ここに, 刺激騒音の典型的な例として道路交通騒音を用いている。次に, 得られた実測データに基づいて前者の瞬時的印象から後者の全体的印象を推定・予測することを, (1) 線形回帰式, 及び (2) if-then 規則の2つの手法を用いて考察している。その結果, 次の諸点が明かになった。 (1) 上記2つの心理的印象に対する平均的出現事象には強い相関が見られること, (2) 前者の心理的事象の変動が大であると, 後者の印象としてよりうるさく感じること, (3) if-then 規則による推定・予測手法は線形回帰式による手法で生ずる不都合を取り除き, しかもデータの節約ができること。
1993-08-15

ファジィ推論による騒音の心理評価法(<特集論文>人文・社会科学へのファジィ理論の応用)

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