メスバウアースペクトロメトリーによる鉄-ホウ素非晶質合金の構造と結晶化の解析(<特集>無機材料分析のためのスペクトロメトリー)

概要

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透過及び転換電子メスバウアースペクトロメトリーによって非晶質Fe_<75>B_<25>合金のバルクと表面の状態解析,及びB^+注入鉄の表面の状態分析を行った.非晶質Fe_<75>B_<25>の構造は,Fe_3Bの局所構造と似ていること,結晶化によって,バルクではFe_3B,表面ではα-FeとFe_3Bが晶出すること,及び表面では結晶化温度がバルクより約60℃低いことが確認された.表面では,ホウ素酸化物の生成によってFe_<75>B_<25>の組成からずれを生じるため,バルクと異なった状態が現れると考えられた.又,50kVで1×10^<18>cm^<-2>のB^+を鉄薄膜に注入して形成された層は,非晶質となり,Fe_<50>,B_<50>に近い組成となるが,その構造は,FeBの局所構造とは異なっており,原子配列などがかなり乱れた構造になっていると考えられた.形成された非晶質層は400℃で結晶化して,FeBとFeB_<1+x>が生成し,それらは500℃でFe_2Bに変化した.500℃以上に昇温すると,ホウ化層は消失した.
社団法人日本分析化学会の論文
1986-08-05