チオシアン酸鉄(III)の退色防止剤として用いられる非イオン性界面活性剤の化学的作用
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概要
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チオシアン酸法による鉄の比色分析の際の退色防止剤として,非常に効果の大きな非イオン性界面活性剤の化学的機能について研究した.水溶液中の酸素の溶解度は界面活性剤の有無には影響されない.界面活性剤が存在すれば,30℃でも2時間は色が十分安定であるが,脱気した溶液は徐々に退色する.一方チオシアン酸鉄(II)錯体は通常空気酸化されないのに,界面活性剤があると鉄(III)錯体に変わって赤色が現れる.このことから界面活性剤によって活性化された酸素が鉄(III)錯体を安定化していることが分かる.更に界面活性剤が比色感度を倍増させる理由は,各種の事実から鉄錯体がミセル内に取り込まれるためと推定した.しかしこの呈色反応における吸光度の温度変化が界面活性剤によって助長されることは,実際の比色分析の際に注意を要する.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1985-06-05
著者
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