水酸化鉄(III)共沈法による地熱水中のヒ素の除去
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概要
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大分県の大岳地熱発電所9号井からの噴出直後の地熱水の脱ヒ素を行うため,塩化鉄(III)添加-水酸化鉄(III)生成共沈法(以下共沈法と略記)と水酸化鉄(III)沈殿添加法(以下添加法と略記)の検討を行った.ヒ素除去率に対するpHの影響はいずれの方法でもpH3で最高の結果が得られたが,共沈法のほうがより高いヒ素除去率が得られた.かくはん時間の影響は共沈法では見られなかったが,添加法では約6時間でヒ素除去率が最大となり,以後一定となった.処理温度も影響があり,共沈法の場合,(80〜50)℃で最適pH3であったが20℃ではpH5に移行した.又低温のほうがヒ素除去率がやや低下した.熱水中のモノ及びポリケイ酸(塩)類は脱ヒ素に影響を及ぼし,ケイ酸類の存在しない場合と比較すると,酸性側では水酸化鉄(III)によるヒ素の吸着・共沈を妨害するが塩基性側ではヒ素の脱着・溶離を抑制するという一種の緩衝効果が認められた.実用的・経済的見地から比較的低濃度の鉄(III)塩を用いたが鉄濃度40ppm程度でも地熱水の酸化処理{ヒ素(III)→ヒ素(V)}とpH調整を行うことによって,噴出直後の地熱水中のヒ素濃度を環境基準以下にすることができた.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1983-11-05
著者
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河野 賢太郎
九州工業大学工学部環境工学科
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河野 賢太郎
九州工業大学工学部
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柳ケ瀬 健次郎
九州工業大学工学部環境工学科
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吉永 鉄大郎
九州工業大学工学部環境工学教室
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柳ヶ瀬 健次郎
九州工業大学工学部環境工学教室
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吉永 鉄大郎
九州工大 工
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