キャピラリー電気泳動法による2-ニトロソ-1-ナフトール-4-スルホン酸を用いる金属イオンの分離・定量

概要

論文の詳細を見る
2-ニトロソ-1-ナフトール-4-スルホン酸(ニトロソ-NW酸)の金属キレート(Fe^<2+>, Co^<2+>, Ni^<2+>, Cu^<2+>及びPd^<2+>)をキャピラリー電気泳動により分離した.通常の泳動液(ニトロソ-NW酸と緩衝剤の混合液)では, Ni^<2+>, Cu^<2+>のみが鋭いピークを与えた.泳動液中に第四級アンモニウムイオンを加えると, ブロードなピークであったFe^<2+>, Co^<2+>, Pd^<2+>も鋭いピークとなった.泳動液中に添加する第四級アンモニウムイオンの種類と濃度の影響を調べたところ, 疎水性のイオンほど, 又高濃度ほどキレートの移動度(絶対値)は小さくなることが分かった.これは, 第四級アンモニウムイオンがキレート陰イオンと一部イオン会合体を形成し, 実質的電荷を下げていることによると考えられる.泳動液組成の最適化を検討した結果, テトラプチルアンモニウムイオンを用いることにより, 上述の5種の金属イオンの良好な分離と同時定量が可能となった.本法により, 市販ニッケル塩中の微量コバルトの定量を行った.
1994-08-05