高速先端分析法の開発と薬物-タンパク結合研究への応用
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概要
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高速先端分析法(high-performance frontal analysis, HPFA)は, 薬物-タンパク質結合平衡状態にある非結合型薬物濃度測定を目的として著者らが開発した新しいHPLC分析法である.本論文では, HPFAの原理並びに特徴について述べる.HPFA法は, 従来のHPLC装置を用い, タンパク質のような巨大分子をサイズ排除するが低分子量薬物は逆相保持するような制限進入(restricted-access)タイプのHPLCカラムを使用して行われる.このカラムに, 移動相の流れに乗せて薬物-タンパク質混合試料の過剰量を注入すると, カラムの入口近くの一部分で試料溶液中と同じタンパク結合平衡が再現される, その結果, タンパク質のピークに続いて非結合型薬物が台形状ピークとして溶出されるので, そのプラトー部分の高さから非結合型薬物濃度が測定できる.又, 両ピークが十分に分離されている場合には, 台形状ピークの面積から総薬物濃度が同時に求められる.これがHPFA法の原理である.HPFA法は, (i)従来繁用されている平衡透析法や限外濾過法で問題になる薬物の膜への吸着や結合型薬物の漏れなどの心配なしに簡便迅速に試料を直接注入分析できる, (ii)オンラインHPLCシステムへの組み込みが容易である, (iii)薬物結合率が高い場合には, 比較的少量の試料で効率よく分析できる, などの特徴を有する.HPFA法の応用例として, 抗てんかん薬カルバマゼビンのヒト血しよう中総濃度と非結合型濃度の同時定量や, 抗凝血薬ワルファリン及び抗炎症薬ケトプロフェンの非結合型光学異性体の直接注入分析について述べる.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1991-05-05
著者
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