キューリーポイントパイロライザーを用いるポリエステルの熱分解メチル化法に及ぼすパイロホイルの材質と試料形態の影響
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概要
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Chalinorにより提唱された熱分解メチル化分析法をキュリーポイント熱分解装置(CP)を用いて, ポリエステルの組成分析に適用した. 熱分解メチル化法における分解生成物のピーク面積の再現性の向上を目的に, パイロホイルの表面を金めっき, 白金めっきしたもの, 試料が直接パイロホイルに接触することを防ぐために試料をあらかじめアルミホイルに包んだ後, それを更にその外側からパイロホイルで包む方法及び無処理のパイロホイルを使用する方法などの合計4種類の方法で同一試料の分析を行い, より良い再現性が得られる熱分解メチル化分析法の検討を行った. 試料としては, ポリブチレンテレフタレート(PBT)を使用した. それぞれの表面処理したパイロホイルでPBTを熱分解して得られた熱分解生成物の相対ピーク面積比を求めることによって各種パイロホイルによる再現性の検討を行ったところ, 金めっきしたパイロホイルが, テレフタル酸ジメチルピークで最も低いRSD値0.8を示すことが判明した. 更に, 金めっきしたパイロホイルを用い, 液晶ポリマーであるVectraについて熱分解メチル化分析法を行ったところ, メチル化されていないフェノールが一部検出されることから, メチル化された化合物の収率をより向上させるためにVectraを冷凍粉砕して微粒子化した後分析したところ, その化合物のメチル化収率を著しく向上させることができ, 再現性も良好であった. 熱分解メチル化分析法で有機溶媒に溶解しないポリエステル樹脂を分析するには, あらかじめ試料を冷凍粉砕しておき, 金めっきしたパイロホイルを使用すれば良いことが判明した.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1999-03-05
著者
-
六車 進
日本分析工業(株)大阪営業所分析室
-
大栗 直毅
日本分析工業(株)研究所
-
内野 滋巳
日本分析工業(株)研究所
-
木地 實夫
鳥取大学工学部物質工学科
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木地 実夫
鳥取大学工学部物質工学科
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大栗 直毅
日本分析工業
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