キューリーポイントパイロライザー測定の再現性に及ぼすパイロホイル材質の影響
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概要
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キューリーポイント熱分解装置(Cp)では, 加熱熱源に強磁性体のはく片(パイロホイル)が使用されているが, パイロホイル表面の金属組成によって熱分解生成物の収率が変化するとの報告がある. そこで, 従来の未処理のパイロホイル(N-F)を使用する方法に対して, パイロホイルの表面を金めっき(G-F), 白金めっき(Pt-F)したもの, 及び試料が直接パイロホイルに接触することを防ぐために試料をあらかじめアルミホイルに包んだ後, それを更にその外側からパイロホイルで包む方法(AL-F)を比較し, より良い再現性が得られるCpの高性能化研究を行った. 試料としては, スチレン-メタクリル酸メチル共重合体{P(S-MMA)}及びポリエチレンテレフタレート(PET)を使用した. P(S-MMA)では, 試料量を1から300μgまで変化させ繰り返し分析を行い, 熱分解生成物の相対ピーク面積比を求めた. 金めっきしたパイロホイルで分析した場合, 相対ピーク面積の相対標準偏差(RSD)がすべての試料量領域に対して1.4以下となる良好な結果が得られた. なお, パイロホイルの表面状態の相違による再現性の良さは, G-F>Al-F>N-F>Pt-Fの順であることが判明した. 同様に, PETを熱分解した場合でも, 金めっきを行ったパイロホイルが主要ピークの相対ピーク面積値で最も低いRSDを示した. これらの結果から, パイロホイル表面に金めっきをすることによって, Cp測定の再現性の向上に有効であることが判明した.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1998-07-05
著者
-
六車 進
日本分析工業(株)大阪営業所分析室
-
大栗 直毅
日本分析工業(株)研究所
-
内野 滋巳
日本分析工業(株)研究所
-
木地 實夫
鳥取大学工学部物質工学科
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木地 実夫
鳥取大学工学部物質工学科
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大栗 直毅
日本分析工業
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