レセプターを包埋した脂質二分子膜を用いる化学センシング法の基礎研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
種々の生体及び人工レセプターを包埋した平面脂質二分子膜を用いる化学センシング法について, 著者らのアプローチを中心に総説として著した. 膜を横切る信号伝達の基本様式である(i)膜電位の変化, (ii)膜透過性の変化, 及び(iii)能動輸送に基づいて化学センシング法を構築し, それらの方法の特徴を, 原理, 感度, 選択性, 増幅の観点から記述した, 脂質二分子膜は単分子膜は(貼)り合わせ法及びtip-dip法によって作製した. 又, 脂質二分子膜の電気化学特性, 特にキャパシタンス及び電流ノイズについて検討し, 貼り合わせ法及びtip-dip法の特徴を明らかにした. レセプターが膜に包埋されたことを確認するための実験的判断基準について考察し, 経験則を提案した. 人工レセプターを包埋した電位応答型脂質二分子膜センサーでは, 陰イオンサイトをレセプターと同時に包埋することによりインピーダンスマッチングの問題を解決し, 定量的脂質二分子膜センサーとしての基礎を築いた. 一方, グルタミン酸レセプターイオンチャンネルを包埋した脂質二分子膜センサーでは, 検出限界50pMを達成した. 人工レセプターを包埋した脂質二分子膜センサーは, 目的イオンのみならず対陰イオンの膜透過を誘起し, 高感度センシング膜になることを示した. 最後に, レセブター包埋脂質二分子膜センサーを一般化する上での今後の課題について考察した.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1998-12-05
著者
関連論文
- キャピラリー電気化学センサーの開発と応用
- 膜を用いる分子センシング法の新展開-バイオ及びバイオミメティックシステムからのアプローチ-
- 研究紹介
- 膜を用いるイオン・分子認識の新しいアプロ-チ (情報交換機能)
- 生体膜機能に学ぶセンシング化学
- アビジン修飾ガラス基板の作製と安定性の比較(機能性界面と分析化学)
- Design and Application of Ion-Channel Sensors Based on Biological and Artificial Receptors
- Potentiometric Responses of Polymeric Liquid Membranes Based on Hydrophobic Chelating Agents to Metal Ions
- Nitrogenous Synergists Induced Potentiometric Response to Metal Ions with Polymeric Liquid Membranes Containing Thenoyltrifluoroacetone as an Ionophore
- Potentiometric Responses of Ionophore-Incorporated Bilayer Lipid Membranes with and without Added Anionic Sites
- Concentration of Dopamine by Proton-Driven Uphill Transport Using Lasalocid A as the Carrier
- 蛍光リポソームアレイを用いた新規イムノアッセイ法
- 分析化学と学際領域
- 生体分子計測法の高度化と応用
- 新・楽しい化学の実験室(7)酵素膜プレートを用いて、糖を色で測る
- A Surface Plasmon Resonance Sensor for Substance P Using Gold-Modified Calmodulin and Melittin
- 毛管作用に基づく超微小ガラスキャピラリーセンサーの開発と哺乳類大脳内のグルタミン酸濃度測定への応用
- BIO REVIEW DNA損傷の高感度検出
- Analytical Sciences 誌の発展のために
- レセプターを包埋した脂質二分子膜を用いる化学センシング法の基礎研究
- レセプタ-蛋白に基づく化学センシング--生理適合性を有するアゴニスト選択性の評価法
- 膜を用いるイオン・分子認識の新しいアプローチ
- 生物電気化学分析法-2-生物電気化学分析の手法の基礎