日本語対話文解析文法の開発環境
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概要
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ATR自動翻訳電話研究所で開発された音声言語日英翻訳実験システムSL-TRANSの日本語対話文解析部は、解析過程の制御が自由なアクティブ・チャート解析法と単一化に基づいた語-統辞論的な文法的枠組みであるHPSGを採用している。この日本語対話文解析部では、文法の中に統語的情報だけでなく、意味的・運用論的情報を取り込んでいる。素性構造の単一化に基づく制約の伝搬の枠組みを用いながら、統語論、意味論、運用論といった異なる部門に由来する情報を統合することができる。そして、文法の中心となる語彙規則と生成規則を用いて、構文/意味解析を行ない、日本語意味構造を得る。文法開発者は日本語対話文解析部の性能(Covera-ge,Performance)となる文法に対して、言語学的な知識を記述するために、個々の言語現象の位置づけを明らかにするような努力をしている。その文法は様々な操作や膨大な情報が相互に密接に関係しあい非常に複雑多様な構造になっている。文法開発者は文法記述の正当性を種々の着想や方策により試行し、立証するために、頻繁に拡張や修正を加える。このような試行錯誤を複雑な構造に対して繰り返してゆくためには、文法開発者が解析処理中の文法規則の適用状況や文法情報を適切な位置でモニタリングでき、容易に文法に対する拡張・修正を行なえるような柔軟な開発環境が必要である。これまで、日本語対話文解析部の中では、パーザの動きを監視するデバッグ環境は存在していたが、文法を開発するための支援ツールは整備されていなかった。文法開発において文法の不整合や誤りを発見する場合、文法開発者の経験や知識などに頼っている状況であった。そこで、日本語対話文解析部の文法開発支援ツールを構築したので、この内容について我々は報告する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1991-02-25
著者
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永田 昌明
Atr自動翻訳電話研究所
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松尾 秀彦
(株)東洋情報システム大阪本社自然言語処理グループ
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谷田 泰郎
(株)東洋情報システム
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永田 昌明
(株)ATR自動翻訳電話研究所
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谷田 泰郎
(株)東洋情報システム自然言語処理グループ
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