Core meaningを用いた日本語格助詞の解釈

概要

論文の詳細を見る
「が」「へ」のような格助詞は、文中の名詞句の文法的機能を表示しそこに意味を付加する働きをする。国語辞典等に列挙された格助詞の意味は、格助詞がある限定的な文脈に置かれることによって、初めてその格助詞に対して言える文脈依存的な意味である。例えば「京都へ行く」という文について「へ」は移動の目的地を表すとあるが、この意味は場所及び移動という2つの意味的要素が存在する文脈で初めて成立する。格助詞に対してこのような文脈依存的な意味を用意して発話の解釈を行おうとすると2つの問題が生じる。まず、格助詞に対して周囲の文脈に応じて多くの意味の選択肢を用意せざるを得ない。2つめに、格助詞の周囲に文脈が不足している場合に格助詞の意味を選択できない。日常の発話は断片的、省略的である場合が多いが、このようなとき上手く格助詞の意味を決められない。このような問題を解決する為に、本稿では格助詞に対し文脈に依存しない格助詞単独での意味を定義し、これを基に発話を解釈することを考える。
一般社団法人情報処理学会の論文
1991-02-25