SQL言語に対するハッシュ操作演算系での実現方式

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近年、関係データモデルに基づくデータベースシステムの構築が盛んに行なわれており、商用システムを含むこれらのデータベースシステムの多くでは、ISO標準化されたSQL言語をユーザ問合せ言語として採用している。しかし、ISO規格を完全にサポートするシステムは少なく、特に操り返し構造を持つ問合せ式(Nested Query)に関する記述に制限を加えるものが多い。これは、SQL言語の持つ記述形式の複雑さに対して制限が加えられているというよりも、むしろ繰り返し構造を持った問合せ式に対する安易な実現方式に基づく処理性能の限界から生ずる制約であると考えられる。しかしこの問題は、文献[2,3]等で述べられているように、繰り返し構造を持った問合せ式が、複数個の繰り返し構造を持たない問合せ式で等価に表現できることを利用すれば、SQL言語の基本問合せ式(繰り返し構造を持たないSELECT-FROM-WHERE-GROUP-BY-HAVING構文をとる問合せ式を"基本問合せ式"と呼ぶ)に対する高速な演算処理方式と複数の問合せ式に対する一貫性制約を保障するトランザクション処理手法を用意することで解決することができる。このうち、応用言語からのデータベース利用において必要不可欠なトランザクション処理については他の文献に譲り[1]、本稿ではハッシュ操作に基づく演算処理手法によるSQL問合せ式の実現方式についてまとめている。以下、2章ではSQL言語の文法を概説し、一般問合せ式が2種類の基本問合せ式の組み合わせで表現できることを示す。3章では、各基本問合せ式が我々の提案するハッシュ操作に基づく演算処理方式と親和性が高く高速に演算処理を施すことができることを示すとともに、一般問合せ式を木構造で表現した際の、基本問合せ式間の処理効率を向上させる方法について述べる。4章では本稿のまとめを行なうとともに、複数プロセッサ構成の並列データベースシステム上での実現方式への適用性について検討を行なっている。
一般社団法人情報処理学会の論文
1989-10-16

SQL言語に対するハッシュ操作演算系での実現方式

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