観測データに基づくNOAAクイックルック画像フォーマットの改良
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概要
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気象衛星から得られるデータは、観測範囲の広域性から、気象学にとどまらず海洋学や農学等の各種の分野で利用されている[1,2]。このため、東京大学生産技術研究所ではNOAA衛星の自動受信システムを設置し[3]、受信データのデータベースを作成する[4]ことで、学術研究者に対するデータ利用支援を行なっている。このデータベースでは各利用者が必要とする対象領域が限定されていないことから、NOAA衛星の観測データをそのままデータベース化したものとなっており、それぞれの利用者は、興味のある対象分野をクイックルック画像と呼ばれる4×4画素毎に間引きしたサマリー画像により判断しながら実際の処理を施す方法をとっている。また、遠隔地の利用者には、受信時に生成されるクイックルック画像をファックス転送する方法により、随時受信データの状況を知ることができるようになっている[5,6]。しかしこのシステムでは、データの濃淡レベルを強調するために非可逆な演算処理を施しているため、観測値の情報を失うことになる。本稿では、NOAAに搭載された受信センサの各チャネルのデータ特性を調査した結果、10bit幅を持つ原受信データを8bitに変換する際に、情報を持たない部分をシフト演算によりカットすることで、十分な濃淡レベルの画像が得られることを明らかにする。この提案方式は線形変換方式をとるため、作成されるクイックルック画像から受信時の観測値が概観できることになり、画像操作を行なうことで荒い受信画像検索処理に利用することも可能となる。以下、2章ではNOAA衛星の特徴と従来のクイックルック画像作成手順について概説し、3章で受信センサに対するデータ特性について述べ、新しいクイックルック画像作成の手順を示す。4章は本稿のまとめで、今後の方針について述べる。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1991-02-25