有限要素法と境界要素法を利用した電磁界解析の並列処理

概要

論文の詳細を見る
有限要素法や境界要素法は,近似のバランスが良くまた応用範囲も広いため,以前からさまざまな分野の数値解析に使用されている。特に有限要素法は,不均一な領域や,非線形性を持つような領域の解析にも有効であるが,スパースバンドマトリクスの求解に多くの時間を要するため,さまざまな並列化に関する研究が行なわれている。これに対し境界要素法は,無限の大きさを持った解析対象領域を比較的自然に扱え,また得られる結果が滑らかになるため,流れのある場の解析などに利用されている。最近ではこのような有限要素法および境界要素法の両方の長所を利用することにより,リニア・モーターカーの磁場解析などの電磁界解析が効率的に行なえるようになってきたが,扱うべき問題の規模が巨大化しているため有限要素・境界要素併用法の並列処理による解析速度の高速化が望まれている。本稿では,有限要素法における粗粒度並列性を引き出す手法である並列サブストラクチャ法を適用した有限要素法部分の分割を境界要素法部分にも利用し,境界要素法部分においても粗粒度並列性を引き出す方法を提案し, Cenju-3上で評価する。
一般社団法人情報処理学会の論文
1996-03-06