アカマツの採種園に関する研究(I) : アカマツのツギキクローンからとったタネの1000粒重について
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概要
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アカマツの採種園にみのった自然交雑によるタネの1000粒重をしらべるために, 表日本系のツギキクローンとの関係を追跡した。1957年に植えられた採種園から, 1961年と1962年に採種したクローン別のタネのあいだには, r=+0.877の相関がみとめられた(図-2)。さらに, 異令のクローンから, おなじ年に採種したタネでは, クローンが老令化するにつれて1000粒重値の小さくなる傾向が推定されるとともに, r=+0.934の高い相関のあることがみとめられた(図-3)。これらのことから, 1000粒重もツギキクローンの特性を示すひとつのめやすになるものとおもわれる。肥培をおこなったツギキクローンとその対照クローンの1000粒重間には, r=+0.738の相関がみとめられた(図-4)。肥培クローン種子の1000粒重は, 平均値が13%ほど大きく, また, 種子生産力は, 対照クローンの, およそ19倍になっていたので, 1000粒重値の増加とともに, 種子生産におよぼす肥培管理の影響のすこぶる顕著であることがみとめられた(表-7と表-10)。採種園から1962年に採種したタネによって, 採種本1本あたりの種子量, 対, 1000粒重, 球果1個あたりの種子数, 対, 1000粒重の2項目をしらべた結果では, rの値がそれぞれ, -0.132,+0.014で相関の存在がみとめられなかった(図5〜6)。精英樹候補木の選抜地によってツギキクローンを3群の有名マツ集団にわけた1000粒重の分散分析からは, ミドウマツ, トウザンマツ, センダイマツの順に重く, 集団間にきわめて有意な差がみいだされた(表8〜9)。アカマツ普通母樹林のタネとツギキクローンのタネとの1000粒重比較においては, いずれのばあいも変動係数が10%前後であって, 肥培管理をおこなった採種園の1000粒重値は, 30.7〜42.5%大きく, また, 肥培をしなかった系統保存林では, 13.6〜14.9%だけ大きいことが確認された(表10〜11)。
- 1966-05-25
著者
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