ヒノキの二つのアイソザイム遺伝子座における遺伝的変異と分化
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概要
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ヒノキが保有している遺伝的変異と分化を明らかにするために, アイソザイム遺伝子を指標として用い, 6か所の天然林集団(屋久島)(鹿児島県), 白髪山(高知県), 太神山(滋賀県), 木曽(長野県・岐阜県), 今市(栃木県), 赤井岳(福島))県の遺伝子組成を調査した。その結果, 集団間で遺伝子頻度に大きな違いが認められた。集団の遺伝的変異性を数量的に表わすことのできる平均へテロ接合体率(H)を求め検討した結果, この種が保有する全変異のうち集団間に由来するのはわずか10%であり, 変異の大部分(残りの90%)は集団内に存在していることが明らかとなった。また, クラスター分析により天然林集団間の遺伝的関係を調べたところ, 調査した6集団は, 屋久島・白髪山の2集団と本州にある4集団の2群に分類された。さらに, 全国11か所の人工林を調査した結果, 林分間で違いはほとんど認められなかった。このことは, 天然林が人工林にくらべて著しく高い変異性を内在していることを改めて認識させるとともに, これらの人工林の造成に利用された種子源がごく隈られた地域であったことを示唆している。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1987-03-25
著者
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